法制審、「合同会社」制度を創設(2004年7月25日付日経)
法相の諮問機関の法制審議会は株式会社と組合組織を折衷した「合同会社」(仮称)の新設を打ち出す。
これはアメリカのLLC(Limited Liability Company)がモデルとなった企業組織で、出資者(株主)が出資範囲でしか責任を負わない株式会社と出資比率に関係なく利益を分配できる組合組織の中間的性格を持った企業組織である。既にアメリカでは、ノウハウのある人材が集まって事業を展開する人材集約型の産業分野(ソフトウェア開発、投資顧問業、企業再生コンサルタント、共同研究開発事業)などで、活用されている。企業の競争力の源泉が「物的資産」から「人的資産」へシフトしており、大規模な株式会社ではなく、人的な会社に発展可能性が高まっている。今回検討されている合同会社では、株式会社と異なり、利益配分や意思決定などが定款で決められ、高い技術のある研究者や指導力をもつ経営者を呼び込める。そこにメリットがあるようである。
LLC法は、1977年にアメリカワイオミング州で制定されて以降、全米各州、コロンビア特区において制定されている。アメリカの税務上は、事業体(LLC)ごとに法人課税を受けるか、その出資者を納税主体とするパススルー課税を受けるかの選択が認められている。ただ、今回の法制審では、決定権がないため、このパススルー課税の採用は、税務調査会などの議論に委ねるとする。
当事務所のお客様にもアメリカニューヨークに本店のあるLLCがある。2年前に当事務所で、このLLCの大阪支店の有料職業紹介事業の許可申請手続きをお手伝いした。この際にも、通常要求される日本法人の法人税確定申告書などが存在せず、かなりイレギュラーな形でいろいろな書類を用意し、許可取得のためかなり手間取ったことがある。外国法人の日本事務所に厚生労働省の許可が下ろされるということが、横浜に一度あったようだが、おそらくLLCに対して許可が下ろされたのは日本でも初めてに近かったのではなかろうか。
既に法制審は、現行の有限会社の廃止を打ち出しており、新会社法の下では、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つになるようである。企業が営利を目的として活動し、経済活動を行う上で、どういう法的制度が適しているのか。ようやく日本の会社法も経済的目的に適合した法的制度の整備に着手し始めたということであろう(角野)。
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