派遣労働で違反急増(2006年7月22日付日経)
厚生労働省が2005年度派遣労働に関する法令違反で是正指導した件数が、前年度比63%増の3812件にのぼった。5年間で10倍と急増である。
この記事によると、労働局が立入調査をし、職業安定法違反などが見つかると是正指導をする。04年度からは労働者から苦情が寄せられた企業を重点的に調査する体制を強化しており、05年度には対象企業の61.1%で違反が見つかったようだ。
実は当事務所でも、上記立入検査後の対労働局への是正報告手続きなどを対象企業と一緒にお手伝いをすることが多くなっている。行政書士の守秘義務にも関わるので、個別のケースについての詳細はここではもちろん書けないが、当コーナーでも何度かプレス報道されたケースについても触れてきた。(●デル日本法人、職業安定法違反(2005年8月11日付日経、朝日)● ●グッドウィルに事業改善命令(2005年6月30日付日経)●)
私自身の実感としても、最近今回の記事にある指導の多さを感じていたのだが、「やはり」という感想である。特に労働者、派遣スタッフからの労働局、労働基準監督署、ハローワーク等への申告があった場合、上記調査はかなり厳しいものとなっているようである。ある労働局の調査担当者も「労働者からの申告には当方としてもきっちりと対応せざるを得ない。」という趣旨の発言をされておられたが、この記事にもそれが記述されている。
受入企業で労働基準法違反などの事態が認識された場合、まず受入企業に対する調査が行われ、派遣会社への調査という流れで手続が進むのが一般である。この記事にもあるように受入企業はこの場合、まず法違反の認識がないことが多い。というか、受入企業は法違反の事態を知っていたとしても、その責任をむしろ派遣会社に押しつける傾向が強いというべきであろう。つまり、派遣会社にとって、受入企業はお客様、その力関係は受入企業の方が上であり、法違反の事態が調査で判明しても受入企業は開き直り、派遣会社がその責任を負わざるを得ないというのが実態である。しかも派遣会社は許可を持ちビジネスを行う立場であり、その指導手続がこじれて許可の取消しという事態になることは絶対に避けねばならないのである。
もちろん派遣会社の側に法違反を犯してでも、ライバル会社に勝つために法違反を助長していたというような場合は、派遣会社の側に非があるというべきである。ただ、現在の派遣ビジネスの状況を見る限り、派遣会社の立場が受入企業に比べ弱いといわざるを得ず、それがこの記事にあるような是正指導の増加をもたらしているとも言える(角野浩、2006年7月22日)。
Copyright(c) 1998-2004 OFFICE KADONO All rights
reserved
info@kadono.org