在留期間外国人労働者5年に延長(2006年6月13日付日経

 自民党の外国人労働者問題に対する特別委員会は、在留期間を原則3年から5年に延長する案を柱とする対策案をこの6月中にも最終決定するようだ。総合対策案のポイントは、次の通り。

●人材の受入促進
・在留期間を原則3年から5年に延長
・留学生の就職活動期間を半年から1年間に延長
・弁護士や医師など高度技術者を対象に日本版グリーンカード創設を検討
●研修・実習制度の改善
・賃金不払いなど受入企業へのチェック体制の強化
●生活環境の整備
・社会保険や労働保険への加入徹底
●国の体制整備
・在留状況を把握する管理システムの導入
・基本法の制定
・政府で政策の調整機能を果たす推進本部の設置

外国人労働者を広く受け入れることを前提とした対策案を自民党内の委員会が最終決定するというニュースである。来年の通常国会の出入国管理法改正のなかで、この案を自民党として政府に働きかけを行うようである。

私角野も各企業からのご依頼により「人文知識国際業務」=通訳・翻訳業務等、「技術」=IT技術者等の在留資格認定証明書の交付申請や、在留資格変更、延長の申請などをお手伝いすることが多い。こういった実務を行っている者の実感として、今回の対策案は、現状の企業の要望などが理解出来ているのか、疑問を感じる。

まず、期間を原則3年から5年に延長するということだが、現行制度の中でも実は当初から「3年」滞在を認めるケースは皆無であり、まず1年ごとの更新を重ね、一定の実績に基づいて「3年」滞在許可を与える運用がなされている。当事務所にも「今回は3年で申請したい」という要望が出ることがあるが、結局「1年」の期間しか認められないケースが多い。つまり入管行政自体、かなり裁量の幅が大きな分野であり、当該審査官の判断に其の内容がゆだねられている。つまり法律を原則「3年」から「5年」に変えたところで、現在のような運用がなされる限り、全く絵に描いた餅に成る可能性が強い。

現在外国人の受入を希望する企業の現実的な要望は、審査期間の短縮であろう。この部分を行政手続法の標準処理期間として、少なくとも努力目標として立法化することを望みたい。最近の当事務所で扱ったケースでも、韓国人IT技術者の在留資格認定証明書で2月3日申請で交付が5月26日(約3ヶ月半)、台湾人ツアーコンダクターのケースで、3月13日申請で交付が6月20日(約3ヶ月半)であった。つまり1シーズン経たないと交付されないのが現状である。昨年の3月頃までには、同じ会社で同様の韓国人IT技術者のケースで約1ヶ月で交付されていたのである。

それともう一つ、在留資格の拡大を望みたい。これについては、5月15日付の朝日新聞に「高度技能者」という枠を設けるという報道がなされており、政府部内でも検討に入っているようである。現在「研修」「技能実習」という枠で行われている製造業の技能者等の要望も私の周りにも非常に多い。しかし、現在単純労働を目的とした受入を認めておらず、そこに産業界と政府、法務省との乖離が見られる。確かに一挙に単純労働枠を在留資格として設けることは難しいとしても、現在のような高度労働者を前提とした在留資格自体の見直し、再編は必要でなかろうか(角野浩、2006年6月29日)。

                  

                                                                                                                                                                                                                                                                                              

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