労働契約法制定へ、2007年にも法案提出へ(2005年9月8日12日付日経、9月13日付朝日)

  厚生労働省は、労使間で労働条件などを決める際の基本的ルールを定めた「労働契約法」(仮称)の制定をめざす方針を定めた。就業形態の多様化により、労働基準法では、対応しきれなくなったのが原因である。

 労使協議の場として常設の「労使委員会」を認めるほか、企業再編に伴う労働条件の変更ルールや、解雇トラブルを金銭で解決する制度なども導入される。

 2007年にも法案が国会に提出される予定である。

★労働契約法(仮称)のポイント

●労使委員会を常設 労働者側が半数以上になるよう構成。労働組合がなくても労働条件の変更などを円滑に行える。
●解雇の金銭解決 解雇が無効とされた場合でも、職場復帰せず金銭補償する道を開く
●雇用継続型契約変更制度 労働契約内容の変更に不服でも、解決まで一時的に雇用主の要求を受け入れ解雇を防ぐ
●出向・転籍

・出向後も出向前の賃金水準を維持するよう出向元・出向先が保証

・転籍先の条件などを書面で示す

●試用期間

試用期間の上限を設定

●解雇理由

解雇の理由を文書で示す

●クーリングオフ

雇用主側から働きかけた退職を受け入れても、8日程度はクーリングオフが可能

 労働契約法(仮称)という、新しい労使間のルールを制定するというニュースである。当事務所でも、お客様から労働者の雇い入れ、労働条件、解雇に関する相談を受けることがある。企業の側からの相談が多いのだが、「会社に無断でライバル会社に業務情報を提供していた場合に、懲戒解雇などが可能か」「契約社員を期間更新せず、雇い止めをしたいだが、良いか」など、やはり特に労働者の退職、解雇に関わる相談が多い。

 労働基準法も2004年1月に改正法が施行されており、例えばこれまで判例法理として解雇権濫用法理が規定化されている。この規定は、「解雇は客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という内容である。例えば、「武富士」会長が事務所を訪れたときに声を出してあいさつをしなかったことを理由に解雇されたケースで、東京地裁(2001年2月)は解雇無効としたが、これなどが解雇権濫用の例である。         

 今回の労働契約法(仮称)では、この解雇について、解雇が無効とされた場合でも、職場復帰せず金銭補償する道を開くことなどが検討されている。

 しかし、この金銭解決の手法も、「お金さえ支払えば解雇できる」というモラルハザードを起こさないのか、という懸念が早くも指摘されている。

 今後この法案がどのような形で議論されるのかは、労働者、企業側にとっても大きな影響を及ぼすことになろう(角野)。                                                             

NEWSへ戻る

HOME


Copyright(c) 1998-2004 OFFICE KADONO All rights reserved
info@kadono.org