ベンチャー支援新業態「LLP」創設へ(2004年9月12日付朝日)

優れた技術があっても財力に乏しい個人や中小・ベンチャー企業が、大企業などと一緒に仕事をしやすくする新たな組織形態「有限責任事業組合(LLP)」が、来年度中にも導入される。このLLPは、法人格を持たず事業をする民法上の組合と、株式会社の双方の「いいとこ取り」の団体である。

これは、経済産業省が「日本版LLP研究会」(座長、能見善久東大教授・民法)を9月17日に発足させ、来年の通常国会で民法の特例法としての成立を目指している制度である。

民法上の組合は、出資者が債権者に対し、無限責任を負う。これは、出資者が個人財産をもって、最終的に組合債権者に対し弁済の責任を負うものである。このため、出資に躊躇するケースも多くなる。

LLPは、この責任を株式会社のように有限責任とする。つまり出資額を限度とした責任に限定する。そしてこのLLPの制度では、出資額は小さくても、利益分配は働きに応じて多く受け取ることができる。すなわち、このLLPは、民法上の組合と株式会社の「いいとこ取り」なのである。

そしてこのLLPは、先に打ち出され、2006年4月の導入を目指す「合同会社」とは併存するのではないかとみられている。                                        

以前この欄でも、「合同会社」の導入のニュースについてふれた。これはアメリカのLLC(Limited Liability Company)がモデルとなった企業組織で、出資者(株主)が出資範囲でしか責任を負わない株式会社と出資比率に関係なく利益を分配できる組合組織の中間的性格を持った企業組織である。既にアメリカでは、ノウハウのある人材が集まって事業を展開する人材集約型の産業分野(ソフトウェア開発、投資顧問業、企業再生コンサルタント、共同研究開発事業)などで、活用されている。

実は今回のLLPも、アメリカのLLCをモデルとしている。とすると、「LLP」と「合同会社」はモデルが同じで、日本法の民法と商法の狭間で、2つの制度して誕生しようとしているようだ。「LLP」が経済産業省、「合同会社」が法務省の所管である。もちろん、両制度とも、資金はないがノウハウや優れた人材がいるという企業を支援するためのものであり、起業家支援の一環である。しかし、縦割り行政の狭間で、非常に似た制度が併存することにより、混乱を招かないようにお願いをしたい(角野)。

 

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